オープンキャンパスの醍醐味は大学のアカデミックな講義に触れることです。大阪体育大学夏のオープンキャンパスでは毎回、体験授業が実施され、8月2日の第3日は、「君たちはスポーツ医学をどう生かすか」「コーチング法について学ぼう!」(スポーツ科学部)、「乳幼児期の認知発達を促す! 色彩?触覚スライムで五感遊びをする」(教育学部)に多数の高校生や保護者が参加。スポーツ科学、教育学の最先端の学びを体験し、「高校の授業よりも、とても専門的で深い」などの感想が寄せられました。
体験授業は8月9日(土)のオープンキャンパス(要予約)でも実施されます。

体験授業でアカデミックな講義に触れる

大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています
「乳幼児期の認知発達を促す! 色彩?触覚スライムで五感遊びをする」
教育学部?松本直子教授(幼児教育、発達心理学)
松本教授は授業の最初に「運動神経は遺伝だけではなく、5歳までの経験で80%が決まる」と、エビデンスとなるデータを交えて説明して参加者を驚かせました。幼児期の多様な遊びが激減したため、運動が苦手な子どもが増えているとして、「幼児教育は未来のアスリートの『可能性の土台』を作る仕事でもあります」と訴えました。

松本直子教授
乳幼児期は触覚?視覚?聴覚?臭覚?味覚の五感からの刺激が脳の発達に大きく影響するとして、五感を刺激する遊びの大切さを強調しました。五感が発達すると、学習能力の土台、豊かな感情と社会性の育ち、健やかな身体の発達につながると説明しました。
続いて、五感を刺激する遊びのアイテムとして、参加者全員でスライム作りに挑戦しました。
スライムは、においをかぎ、触り、冷たさを感じることで幼児の五感を刺激します。松本ゼミの平見柊葉(とわ)さん(4年、香川?高松北)、石井那波(ななみ)さん(3年、和歌山北)、大薮翔生(しょう)さん(3年、大阪?泉大津)がサポート。参加者はコップを手に、学生に教えられながら青い水と水のりを混ぜ、ホウ酸水溶液を入れてスライムを作りました。
最後に松本教授は「体育大学だからこそ、子どもの発達段階に応じた運動や教育方法を専門的に学び、子どもたちの可能性を最大限に引き出す先生を目指せます。皆さんの夢をここで一緒にかなえましょう」と参加者に呼びかけました。

高校生や保護者がゼミ学生のサポートを受けながら、スライム作りに挑戦
スライム作りに挑戦した香川県の高校3年生女子は「高校の授業で幼稚園児にスポーツを教えたことがきっかけで、幼稚園の先生を目指しています。運動神経は遺伝だと思っていましたが、5歳までの経験で決まると授業で知ったので、幼稚園の先生になったら運動神経がよくなるように、園児にいろいろな経験をさせたい」と話していました。

ゼミ生の平見さん、石井さん、大薮さん(左から)
「君たちはスポーツ医学をどう生かすか」
スポーツ科学部?橋本祐介教授(スポーツ医学)
橋本教授は日本スポーツ協会公認スポーツドクターで、Jリーグ?セレッソ大阪チームドクターを務めています。
体験授業では、昨年4月、試合中にスタンドで急病人が発生してチームドクターとして橋本教授が対応にあたった際の映像を流し、経歴を紹介しました。また、全国の大学では極めて珍しい学内診療所でトップアスリートのけが、病気を診察、治療し、サポートしていることなどを説明しました。
続いて、「君たちはスポーツ医学をどう生かすか」として、理学療法士やアスレティックトレーナー、健康運動指導士などを目指す学生だけではなく、体育教師や運動部活動の監督もけがなどに備えてスポーツ医学の知識を持っておく必要があるとしました。

橋本祐介教授
橋本教授は、事例として「真夏の日中にサッカーの部活をしていた。誰かと軽いコンタクトをして転倒。そこで動かなくなった」ケースを挙げました。動かなくなった理由としては疲れ、ねん挫、熱中症、新型コロナや感染症、脳しんとうなどが考えられ、教師や指導者は「命に関わることは最優先に知る必要がある」と参加者に訴えました。
また、大阪体育大学のカリキュラムでは、救急処置は「救急処置」(1年次)、「スポーツ救急法実習」(3年次)で、熱中症?脳しんとうの救急対応は「アスレティックトレーニング実習A」(2年次)、「スポーツ外傷?障害の予防と安全管理」(3年次)でそれぞれ学べると説明しました。
靭帯、軟骨など組織ごとの特性と損傷についても解説。さらに、学生がインターシップ先の数多くの病院で実習にあたっていることも説明しました。
聴講した三重県の高校3年生男子は「高校の保健体育の授業と違い、大学ではとても深いところまで話が及んで、専門性がまったく違いました。自分も中学2年の時、陸上部の練習で腓骨(ひこつ)をけがしたことがあり、大学でも陸上を続けるつもりなので、けがの知識を身に付けていきたい」と話していました。

スライドで救急処置を説明
「コーチング法について学ぼう!」
スポーツ科学部?比嘉靖准教授(スポーツコーチング)
比嘉准教授はバスケットボール部男子監督。大阪エヴェッサコーチとしてbjリーグ3連覇を果たし、U22コーチも務めました。
体験授業で、比嘉監督はコーチングのフィロソフィー(哲学=考え方)として7テーマを提示しました。「1?指導における優先順位」では、指導者は選手に対し、「家族?友人?周りの人たちを大切にすること」「学業を大切にすること」「競技を好きにすること」を徹底させなければならず、「2?経験と研鑽」では、試合の分析や他のコーチに学び専門書を読むなど研鑽の努力が必要としました。「3?オール?オア?ナッシング」では妥協を許さない心境で取り組むことが必要で、「4?勝敗に対する研究」では、敗戦の全責任はコーチにあるとしました。

比嘉靖准教授
「5?楽しさを教える」では、「本当の楽しさは一つのプレーに熱中し、自分なりの工夫を加えて一生懸命にプレーすることから生まれる」、「6?ヘッドコーチがすべて」では、「ヘッドコーチ自らが誠実かつ謙虚であり、信念を持って指導に全力を傾ける時に、周りの人々からの協力が得られる」、「7?学業について」では、「学業面で問題がある学生には、特別な計らいをするべきではない。特にスター選手には、なおさらだ」と参加者に語りかけました。
兵庫県の高校3年生男子は「初めてコーチングの授業を受けましたが、分からないことだらけでした。体育の先生を目指しているので、生徒に指導者としてどう伝えたらいいのか、とても関心があります」と話していました。

説明会の会場はこの日も多くの高校生?保護者でぎっしり

ウェルカムスピーチで「みなさん一人ひとりの可能性と挑戦を全力で応援します」と語る神﨑浩学長

スポーツ科学部の概要説明で話すバスケットボール部女子の松本雛(ひな)さん(2年、長崎日本大学)。「大学ではいい成績を取ること、教員採用試験の対策をしっかりすること、インカレで日本一になることが目標です」

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